特定技能「物流倉庫」とは?受入れ開始前に企業が確認すべき要件

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物流倉庫分野は、2026年1月23日の閣議決定で特定技能1号の19分野に加わりました。上乗せ基準告示も同年6月26日に公布されています。しかし、分野に追加されたことと、企業が受入れを始められることは同じではありません。
2026年7月29日時点では、技能評価試験、分野別協議会の加入受付、運用要領別冊などが未公表です。企業は採用日を確約する前に、自社の適格性を確認してください。
物流倉庫は2026年に追加された1号分野
物流倉庫は、2026年に追加された分野の一つです。業務区分は「物流倉庫」の1区分で、所管は国土交通省です。
上乗せ基準告示は公布日から適用されています。一方、入管庁は「省令等の準備が整い次第受入れが可能」と案内しています。現段階は、法的な枠組みが示され、受入れ手続が整備されている途中です。
対象業務は倉庫内の入出庫・保管作業
主な対象業務は、物流倉庫内で行う次の作業です。
- 入出庫貨物の受渡し、検品
- 貨物の移動、保管庫への格納
- ピッキング
- 流通加工
連絡・報告、整理整頓・清掃、台風接近時の貨物移動や雨水の侵入防止、安全衛生会議への参加などは関連業務として付随的に行えます。清掃や連絡業務だけに専従させることはできません。
流通加工と製造工程を分ける
流通加工には、小分け再包装、タグの取付け、ラベル貼り、セット組みなどが含まれます。物資を市場へ流通させるため、物流側の都合で行う加工です。
商品の機能を完成させたり性能を向上させたりする作業は製造工程で、流通加工には含まれません。名称で判断せず、工業製品製造業など別分野の業務が主でないか確認します。
受入れ可能な事業者は3類型
国土交通省は、受入れ可能な事業者を次の3類型としています。
- 倉庫業の登録を受け、倉庫作業を自ら行う倉庫業者
- 登録倉庫業者が営業に使用する倉庫で、その委託を受けて倉庫作業を行う事業者
- 一般貨物または特定貨物自動車運送事業の許可を受け、自ら占有する倉庫で作業するか、事業に関連して他者の求めに応じ有償で倉庫作業を行う事業者
2番目の委託事業者が雇用主になる場合は、外国人の雇用継続について共同責任を負う協定書を、委託元の倉庫業者と取り交わす必要があります。
倉庫管理と省力化の仕組みが必要
受入企業には、入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能を持つ情報システムの利活用が求められます。自社所有でなくても、本人が働く事業所で利用できればよいと国土交通省は説明しています。
さらに、そのシステムと連携し、生産性と労働安全衛生を向上させる機器などの継続利用も要件です。利用状況は、協議会の入会から概ね1年を目途に協議会へ報告し、確認を受けます。3つの管理機能と連携状況を資料化してください。
雇用形態は直接雇用に限る
物流倉庫分野の特定技能外国人は、受入企業による直接雇用に限られます。派遣会社から庫内作業員を受け入れる形は対象になりません。
業務委託先が受入企業になる類型はありますが、労働者派遣を認める意味ではありません。雇用主、指揮命令、就労事業所と委託契約の関係を整理します。
技能試験は開始時期が未定
必要な技能試験は「物流倉庫分野特定技能1号評価試験」です。国土交通省は2026年2月末までに試行試験を終えたとしていますが、同年7月29日時点で実施要領と本試験の開始時期は公表されていません。
入管庁の2026年6月1日時点の対応表に、物流倉庫に対応する技能実習2号移行対象職種は挙げられていません。倉庫勤務の経験だけで技能試験が免除されるとは判断できません。
日本語要件はA2.2相当以上
日本語要件は、日本語教育の参照枠のA2.2相当以上です。国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上などで証明します。技能実習2号を良好に修了した人について日本語試験の証明が免除される場合でも、物流倉庫の技能試験の扱いは別に確認が必要です。
候補者の証明書は「会話ができる」という評価で代替せず、特定技能の日本語要件に沿って試験名、得点・級、受験日を確認します。
協議会は設置と加入受付を調整中
受入企業は、物流倉庫分野の協議会の構成員であることが要件です。支援計画の全部を登録支援機関へ委託する場合は、その登録支援機関にも協議会加入などの条件が課されます。
ただし、協議会の設置、加入要件、受付開始時期は調整中です。加入すべき協議会が存在しない間は、受入れ機関側の要件をそろえられません。 登録支援機関を選ぶ際も、将来の加入対応を確認してください。
2号対象外で育成就労は対象
物流倉庫は特定技能1号の対象ですが、2号の対象ではありません。1号の通算在留期間を踏まえ、本人へ長期のキャリア見通しを説明する必要があります。
一方、2027年4月1日施行の育成就労制度では対象分野です。物流倉庫では、育成就労の終了時に特定技能1号評価試験を用いる方針が示されています。ただし、分野別運用要領などの詳細は整備中であり、現在の特定技能1号採用と同じ手続ではありません。
申請開始前に進める準備
2026年7月29日時点で申請開始日は公表されておらず、技能試験・協議会など未整備の要件が残ります。これは受入れ上限到達による在留資格認定証明書の交付停止とは異なり、制度開始前の準備段階です。物流倉庫分野に特別な経過措置や技能試験免除も公表されていません。
企業は次を先行できます。
- 自社が3つの事業者類型のどれに該当するか証拠資料をそろえる
- 就労事業所と倉庫内作業の範囲を確定する
- 倉庫管理システムの機能と連携機器を一覧化する
- 直接雇用の契約と1号支援計画を準備する
- 国土交通省のページで試験、別冊、協議会の更新を確認する
候補者の入社日を先に決めると、未公表の試験や加入手続が採用計画の前提になります。 更新確認の担当者と確認日を決め、整った要件から社内資料へ反映してください。
FAQ
Q1. 物流倉庫分野の特定技能1号はもう受け入れられますか? → 2026年7月29日時点では、技能試験の開始時期、協議会の加入受付、運用要領別冊などが未公表です。申請開始日も公式に示されていないため、採用日を確約せず国土交通省の更新を確認してください。
Q2. 通販商品のピッキングやラベル貼りは対象ですか? → 物流倉庫内のピッキングや、流通に必要なラベル貼りなどは対象になり得ます。ただし、商品を完成・改良する製造工程は流通加工に含まれません。
Q3. 倉庫作業の請負会社も受け入れられますか? → 登録倉庫業者が営業に使用する倉庫で委託を受けて作業し、雇用継続について委託元と共同責任を負う協定書を取り交わす事業者は対象類型に含まれます。実際の指揮命令関係も確認が必要です。
Q4. 物流倉庫から特定技能2号へ移行できますか? → 物流倉庫は2号の対象外です。育成就労の対象にはなりますが、2027年の施行に向けた詳細は公表資料を継続確認してください。
まとめ
物流倉庫分野は2026年に特定技能1号へ追加され、業務範囲、受入事業者3類型、情報システム要件、直接雇用などの枠組みが示されました。一方、2026年7月29日時点では技能試験、協議会、運用要領別冊、申請開始日の公表を待つ段階です。
企業が今すべきことは、候補者の入社日を決めることではありません。対象事業者である証拠、業務工程、倉庫管理機能、連携機器、雇用・支援体制を先に整えることです。公式ページの更新を起点に、未確定事項を確定情報へ順次置き換えてください。