制度解説

特定技能の対象分野一覧|1号19分野・2号11分野と確認方法

特定技能1号は、2026年1月23日の閣議決定で追加された3分野を含め、制度上19分野です。ただし、分野に指定されたことと、試験・申請実務の準備が整って実際に受け入れられることは同じではありません。本記事では19分野と所管省庁、2号への移行可否、確認手順を整理します。

特定技能1号は19分野

2026年7月時点の特定技能1号の対象分野は次のとおりです。

所管省庁 対象分野
厚生労働省 介護、ビルクリーニング、リネンサプライ
経済産業省 工業製品製造業
国土交通省 建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫
農林水産省 農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
環境省 資源循環

宿泊分野の実務は国土交通省の外局である観光庁が担当します。業務区分、受入企業の基準、協議会は分野ごとに異なるため、特定技能制度の全体像だけでなく分野別運用方針も確認してください。

14分野から19分野になった経緯

制度開始時の分野数は12ではありません。特定技能は2019年4月に14分野で始まりました。

  • 2022年4月26日:製造3分野の統合を閣議決定。同年5月25日の関係省令等の施行で14分野から12分野へ
  • 2024年3月29日:閣議決定で自動車運送業、鉄道、林業、木材産業を追加し16分野へ
  • 2026年1月23日:閣議決定でリネンサプライ、物流倉庫、資源循環を追加し19分野へ

「制度開始時から12分野」ではなく、製造3分野の統合後に12分野になった順序です。

新しい3分野は受入れ準備も確認する

2026年1月に追加された3分野は、一斉に受入れ実務が始まったわけではありません。

リネンサプライは2026年6月1日時点で入管庁の受入れ可能な分野に掲載されていますが、試験実施要領は準備中です。物流倉庫は国土交通省が1号評価試験の開始時期を未定とし、資源循環も環境省が評価試験や運用要領別冊を準備中としています。

一覧上は19分野でも、新規分野で採用する際は、試験、協議会、告示、申請書類の準備状況を所管省庁で確認してください。

現行の製造分野名は工業製品製造業

製造3分野は2022年4月26日の閣議決定を受け、5月25日の省令施行で「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合されました。2024年3月29日に「工業製品製造業」への変更が閣議決定され、9月30日の改正で法務省令・運用要領に反映されました。

2024年3〜9月の旧称資料は過渡期のものです。現行の業務区分・受入事業所基準は最新資料で確認してください。

特定技能2号は11分野

特定技能2号の対象は次の11分野です。

  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

介護は、在留資格「介護」という別の長期就労ルートがあるため2号の対象外です。後から1号に加わった自動車運送業、鉄道、林業、木材産業、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環も対象ではなく、19分野のうち8分野は2号へ移行できません。

2号の工業製品製造業は3業務区分

工業製品製造業が2号の対象でも、1号のすべての業務から移行できるわけではありません。2号の業務区分は次の3つです。

  • 機械金属加工
  • 電気電子機器組立て
  • 金属表面処理

かばん製造など、1号に後から追加された業務は2号の対象外です。長期雇用を見込む場合は、分野名ではなく本人の業務区分まで確認します。

試験と免除は業務区分ごとに見る

特定技能1号は、原則として分野別の技能試験と、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上で水準を確認します。介護、自動車運送業の一部、鉄道の一部には追加・上位の日本語要件があります。

技能実習2号を良好に修了した人は、日本語試験が原則免除されます。技能試験の免除には、修了した職種・作業と移行先の分野・業務区分との関連性が必要です。別の職種から移る場合、技能試験まで免除されるわけではありません。

「良好に修了」とは何を指すか

特定技能運用要領では、技能実習を2年10か月以上修了し、①技能検定3級(または相当する技能実習評価試験の専門級)の実技試験に合格しているか、②実習実施者が出勤状況や技能の修得状況を記載した評価調書で良好な修了を認めていることを指すとされています。

在留期間を満了しただけでは足りません。合格証明書か評価調書のどちらを出せるか、前の実習実施者に確認してください(同一企業で受け入れる場合は提出を省略でき、評価調書を取得できない場合は理由書と代替文書で審査を受ける道もあります)。

自社が対象か確認する手順

  1. 実際に任せる作業と事業所の事業内容を整理する
  2. 19分野から候補を選び、分野別運用方針の業務区分と照合する
  3. 事業所が対象となる日本標準産業分類や許認可の条件を確認する
  4. 協議会加入、分野別計画、雇用形態などの上乗せ基準を確認する
  5. 本人の試験合格または免除要件を業務区分単位で確認する

判断が難しい場合は、所管省庁の窓口に事業内容と予定業務を示して確認してください(在留手続の窓口は地方出入国在留管理局です。登録支援機関には実務面の助言を求められます)。

分野の範囲外の仕事は任せない

特定技能外国人は、主たる業務に加え、その業務に従事する日本人が通常行う関連業務に付随的に従事できます。ただし、関連業務だけに専ら従事させることはできません。

会社の業種が対象分野に見えても、配属先の事業や本人の主業務が基準に合わなければ受入れはできません。求人票を作る前に確認してください。

分野の判断を誤ると何が起きるか

在留資格で認められた範囲を超える業務に従事させた場合、事業活動に関して不法就労活動をさせた者として、入管法第73条の2の不法就労助長罪に問われる可能性があります。同条第2項により、在留資格に応じた活動ではないと知らなかったことを理由に処罰を免れることはできず、免責されるのは過失がないときに限られます。第76条の2の両罰規定で法人にも罰金刑が科されます。

また、申請時点で分野の適合性が審査されるため、判断を誤れば許可が下りません。分野の確認と日本語教育を含む受入れ体制の設計は、採用活動の起点に置いてください。

よくある質問

Q1. 2026年7月時点で特定技能1号は何分野ですか? → 分野別運用方針上は19分野です。ただし2026年追加分野には試験や運用資料が準備中のものがあるため、申請可否は所管省庁で確認してください。

Q2. 技能実習2号を修了すれば試験はすべて免除されますか? → いいえ。日本語試験は原則免除されますが、技能試験は職種・作業と移行先の業務区分に関連性がある場合に免除されます。分野固有の追加試験にも注意が必要です。

Q3. 1号の19分野はすべて2号へ移行できますか? → できません。2号は11分野で、介護と1号に後から追加された7分野は対象外です。

Q4. 複数分野の仕事を兼務させられますか? → 許可された分野・業務区分の範囲で判断します。本人と受入企業が各分野の基準を満たせば複数分野の指定を受けて兼務でき、指定のない分野を新たに加える場合は在留資格変更許可が必要です。

まとめ

特定技能1号は制度上19分野、2号は11分野です。2019年の14分野から、製造3分野の統合と2回の分野追加を経て現在の数になりました。

受入可否は分野名だけでは決まりません。新規分野の準備状況、事業所の要件、業務区分、試験・免除、2号への移行可否まで確認してください。範囲外の業務に従事させれば不法就労助長罪のリスクが生じます。

参考リンク

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