制度解説

1号特定技能外国人支援計画の作り方|申請前の確認手順を解説

1号特定技能外国人支援計画は、採用後の予定を社内向けにまとめるだけの書面ではありません。在留資格の申請時に提出し、法令上必要な支援を、誰が・いつ・どの方法・どの言語で行うかを示す審査書類です。基準を満たさなければ、1号特定技能の在留資格は認められません。

作成の要点は、10項目の見出しを写すことではなく、本人の状況と自社の実施体制を具体化し、他の申請書類と一致させることです。登録支援機関へ委託しても、計画を作るのは受入企業です。

支援計画は在留申請の前に作る

1号特定技能外国人支援計画は、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の提出書類です。入管庁の参考様式第1-17号を使い、法定の10項目について支援の実施予定を記載します。

10項目の内容は特定技能1号の義務的支援で確認し、本記事では書面への落とし方に絞ります。様式は10か国語の翻訳版が公開されており、古い様式を複製せず申請時点の様式一覧から取得してください。

最初に本人と雇用条件の情報を集める

計画を書く前に、次の事実をそろえます。

  • 本人が十分に理解できる言語と読み書きの状況
  • 入国・転職の予定日、空港や住居の情報
  • 雇用場所、勤務時間、給与支払日
  • 住居の契約者、同居者、通勤方法
  • 銀行口座、携帯電話、行政手続の準備状況
  • 医療、宗教、食事、生活上の配慮
  • 支援を自社で行う部分と委託する部分

同じ国籍でも、理解できる言語、来日経験、家族状況は異なります。前任者の計画を氏名だけ変えて使わないでください。

委託範囲を先に決めて計画に書く

支援は、受入企業が自ら行うほか、登録支援機関へ一部または全部を委託できます。一部委託も可能です。ただし、全部を登録支援機関へ委託した場合に限り、受入企業が支援体制に関する基準を満たすものとみなされます。

一部委託を選ぶ場合は、自社が支援責任者・支援担当者の要件を含む支援体制基準を満たす必要があり、さらに支援計画に委託の範囲を明示する必要があります。「登録支援機関に一部依頼している」という記載だけでは足りません。委託先の比較軸は登録支援機関の選び方を参照してください。

定期面談の担当欄には制限がある

定期的な面談は支援責任者または支援担当者が実施する必要があるため、全部委託の場合を除き、第三者へ委託できません。 一部委託なのに計画の定期面談欄へ登録支援機関を書くと、体制と計画が食い違います。

また、登録支援機関は受託した支援の実施そのものを他者へ再委託できません。通訳の同席や送迎でのタクシー利用など、履行の補助を頼むことは差し支えありません。

各項目を5つの要素で具体化する

10項目ごとに、少なくとも次を決めます。

  1. 担当:受入企業・登録支援機関の誰が行うか
  2. 時期:入国前、到着日、配属後などいつ行うか
  3. 方法:対面、同行、資料提供、定期面談など
  4. 言語:本人が十分に理解できる言語は何か
  5. 記録:実施日、参加者、内容、相談事項を何に残すか

「必要に応じて対応」「適切に説明」のような記載だけでは、実施の具体性を示せません。担当者名が変わっても運用できる粒度で、場所、連絡方法、使用資料まで社内手順に落とします。

計画書は本人の言語でも作り、写しを交付する

支援計画は、日本語のほかに本人が十分に理解できる言語で作成し、その写しを本人へ交付しなければなりません。さらに内容を説明し、十分に理解したことについて本人の署名を得ることが求められます。

「十分に理解することができる言語」は母国語に限りませんが、内容を余すことなく理解できる言語である必要があります。日本語試験に合格していることだけを理由に、すべて日本語で足りるとは判断できません。

事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情対応、定期面談も本人が理解できる言語で行います。翻訳機の活用も可能ですが、込み入った相談や苦情対応では通訳人の介在が不可欠とされています。

雇用契約と他の申請書類を照合する

支援計画単体が整っていても、雇用条件書、報酬に関する説明書、住居資料、支援委託契約と矛盾していれば、審査で説明を求められます。

たとえば、入国予定日と空港送迎日、勤務先と住居・通勤支援、給与支払日と口座開設支援、委託契約の開始日と計画上の担当を照合します。特定技能の申請手順の書類一覧に、横断確認の担当者を置いてください。

義務的支援の費用を本人へ負担させない

受入企業は、1号特定技能外国人支援に要する費用を、直接または間接に本人へ負担させてはなりません。この制限は義務的支援に係る費用についてのものです。

登録支援機関への委託料、通訳料、義務的支援として行う送迎などを、給与控除や別名目で本人に転嫁しないよう、雇用条件・控除項目・委託契約を確認します。一方、本人が通常負担する生活費まで一律に会社負担とする制度ではありません。何の費用かを区分します。

提出前に実施可能性を点検する

要件から逆算すると、提出前の確認点は次のとおりです。これは入管庁が公表した不備件数の順位ではなく、計画と運用の不一致を防ぐための点検表です。

  • 本人の理解言語と実際の通訳手配が一致するか
  • 実施日が入国・配属・給与日程と矛盾しないか
  • 委託先の登録が有効で、契約期間内か
  • 休日・夜間を含む相談先が本人へ伝わるか
  • 担当者の退職・休職時に代替者がいるか
  • 実施記録を定期届出に使える形で保存するか

申請のために書けるかではなく、採用後に予定どおり実行できるかで判断します。

変更時は14日以内に届け出る

支援内容、実施方法、実施言語、支援責任者・支援担当者、委託先の変更は、変更が生じた日から14日以内の随時届出の対象です。生活オリエンテーションの予定時間や定期面談の予定時期の変更も含まれます。

添付する支援計画書は変更箇所と末尾だけを記載します。担当者変更を人事情報で終わらせず、計画・委託契約・連絡先一覧を同時に更新してください。特定技能の届出義務も参照してください。

FAQ

Q1. 支援計画は登録支援機関が作るものですか? → 作成・提出の主体は受入企業です。全部委託でも同じで、登録支援機関が作成を補助することは差し支えありません。

Q2. 支援の一部だけを登録支援機関へ委託できますか? → できます。ただし全部委託の場合だけ支援体制の基準を満たすものとみなされ、定期面談は全部委託でなければ第三者に委託できません。

Q3. 支援計画は日本語で説明すればよいですか? → 日本語のほか本人が十分に理解できる言語でも作成し、写しを交付して署名を得る必要があります。

Q4. 作成後に担当者が変わったらどうしますか? → 支援計画の変更に当たるため、変更日から14日以内に届け出ます。計画・委託契約・社内手順も同時に更新します。

まとめ

1号特定技能外国人支援計画は、10項目の名称を埋める書類ではなく、本人の状況と自社の実施体制を示す在留申請の審査書類です。担当、時期、方法、言語、記録を具体化し、雇用条件書や委託契約と照合します。

一部委託は可能ですが、委託範囲の明示が必要で、定期面談は全部委託でなければ委託できません。本人の言語で作成して写しを交付し署名を得ること、義務的支援費用を負担させないこと、変更時の届出までを運用に組み込んでください。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

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