育成就労の日本語要件とは?段階ごとの基準と転籍の条件を解説

目次
育成就労制度では、日本語能力に段階ごとの基準が設けられます。特に見落とされやすいのが、1年経過時の基準と、本人意向による転籍の条件が別だという点です。
日本語教育を止めれば転籍を防げるわけではありません。教育が進まなければ育成を修了できず、特定技能1号にも移行できないためです。受入企業は各段階を分けて管理する必要があります。
基準は「日本語教育の参照枠」で示される
制度が使うのは、文化庁の「日本語教育の参照枠」です。CEFRを参考に、日本語で何ができるかを段階別に示します。
- A1:JLPTのN5等に対応する水準
- A2.1:A1に到達し、A2.2に向けて学習が進展している水準
- A2.2:参照枠のA2相当で、JLPTのN4等に対応する水準
- B1:JLPTのN3等に対応する水準
A2.1はJLPTの級と一対一には対応しません。JFT-Basicは2026年8月からA1、A2.1、A2.2を判定します。
就労開始まで:原則A1相当以上
介護以外の分野では、原則として次のいずれかが必要です。
- A1相当以上と認められる試験の合格
- A1相当の日本語講習の受講
試験合格だけが入口ではありません。ただし、分野ごとに上乗せ要件が設けられる場合があるため、分野別運用方針と運用要領を確認します。
介護は例外で、就労開始前からA2.2相当以上が必要です。 一般則のA1や講習だけでは開始要件を満たしません。
1年経過時:多くの分野でA1相当以上
1年経過時にも、試験で確認する日本語水準が設けられます。多くの分野ではA1相当以上です。
介護は、1年経過時にもA2.2相当以上が必要で、さらに日本語学習プランを作成します。B1相当以上ならプランは不要です。実務は日本語学習プランで確認してください。
A2.1を一律に1年経過時の要件とするのは誤りです。 A2.1は主に本人意向による転籍の条件として使われます。
本人意向の転籍:分野別の水準を確認する
本人意向による転籍には、就労期間、技能、日本語能力などの条件があります。日本語水準は、A1相当以上から特定技能1号への移行時に必要な水準までの範囲で、分野ごとに設定されます。
A2.1相当以上を採る分野がありますが、全分野の固定値ではありません。介護はA2.2相当以上です。転籍できるまでの期間も分野により1年または2年で、介護は2年です。
自社の分野の条件は、最新の分野別運用方針で確認してください。育成就労の転籍では、やむを得ない事情による転籍との違いも整理しています。
育成終了時:特定技能1号と同じA2.2
3年の育成を終えるまでに、A2.2相当以上が必要です。技能面でも、技能検定3級や特定技能1号評価試験など、分野別に定められた水準を満たします。
日本語要件の面では、育成終了時の水準は特定技能1号と同じです。ただし、移行には技能その他の要件も満たす必要があります。
介護では、A2.2相当の試験に加えて介護日本語評価試験が必要です。
特定技能2号のB1は2027年4月から
特定技能2号の日本語能力B1相当以上は、2027年4月1日から省令が施行される予定です。育成就労から特定技能1号を経て2号へ進む場合も、申請時点が同日前か後かを分けて確認してください。介護は特定技能2号の対象外です。
2号の対象分野と試験・実務経験の要件は特定技能1号と2号の違いで確認してください。
育成就労計画に目標を書く
外国人ごとに作成する育成就労計画には、技能と日本語能力の目標を記載し、外国人育成就労機構の認定を受けます。
日本語教育は任意の福利厚生ではありません。計画に沿って育成し、段階ごとの到達を確認する制度です。施行までの準備の段階で、教育方法、担当者、受験時期、未達時の対応を決めてください。
教育と定着を対立させない
日本語力が上がると本人意向による転籍の条件を満たしやすくなります。しかし、教育を止めれば育成終了時のA2.2に届かず、特定技能1号へ移れません。
必要なのは、教育を抑えることではなく、本人が残りたいと思える処遇と職場環境です。日本語教育と定着施策は一つの計画として扱います。
到達度を途中で測る
公的試験は要件の証明に使えますが、受験と受験の間の進捗までは示しません。「日常会話ができる」という印象だけで判断せず、聞く・話す・読む・書くのどこに遅れがあるかを定期的に確認します。
特にA2.1からA2.2では、職場でのやり取りを増やす必要があります。日本語教育支援の仕組みも活用し、受験直前だけの対策にしないことが重要です。
FAQ
Q1. 入国時に日本語試験の合格は必須ですか? → 介護以外では、原則としてA1相当以上の試験合格または相当する講習の受講です。介護は開始前からA2.2相当以上が必要です。
Q2. A2.1は1年経過時の要件ですか? → 一律の1年経過時要件ではありません。主に本人意向による転籍で使われ、必要水準は分野別に設定されます。
Q3. 転籍の日本語水準は全分野で同じですか? → 同じではありません。A1相当以上から特定技能1号移行時の水準までの範囲で分野ごとに定められます。
Q4. 育成を終えれば特定技能1号へ移れますか? → 日本語水準は同じA2.2ですが、技能試験など他の移行要件も満たす必要があります。
Q5. 介護は何が違いますか? → 開始前からA2.2相当以上が必要です。1年経過時には同水準と日本語学習プランが求められ、修了時には介護日本語評価試験も必要です。
まとめ
介護以外の一般的な流れは、就労開始時にA1、1年経過時にもA1、育成終了時にA2.2です。A2.1は1年経過時の一律要件ではなく、本人意向による転籍の条件として分野別に設定されます。
受入企業は、就労開始、1年経過、転籍、育成終了の4つを分け、自社分野の水準と期限を確認してください。