分野別ガイド

特定技能「木材産業」とは?林業との違い・対象業務・受入要件を解説

特定技能「木材産業」は、山林で木を育てたり伐採したりする「林業」ではなく、工場などで原木を製材し、合板や集成材等へ加工する分野です。会社が林業と木材加工の両方を営んでいても、任せる仕事と勤務事業所が木材産業の対象に該当するかを分けて判断しなければなりません。

受入れには試験だけでなく、事業所単位の協議会加入と安全規範への取組確認が必要です。採用前に自社の事業所と業務範囲を確認してください。

木材産業は2024年に追加された分野

木材産業は、2024年3月29日の閣議決定で特定技能1号の19分野の一つとして追加され、同年9月に運用が始まりました。2026年の追加分野ではありません。

所管は農林水産省の林野庁です。木材産業で利用できるのは特定技能1号で、雇用形態は直接雇用に限られます。

林業との違いは「山林」か「加工事業所」か

林業分野の中心は育林や素材生産です。植栽、下刈り、伐採、枝払い、集材など、森林で木を育てて原木を生産する工程に当たります。

木材産業の中心は、運び込まれた原木や木材を製品へ加工する工程です。製材機械などを使う工場内の仕事が想定されます。「木に関係する会社だから、どちらの分野でも同じ仕事を任せられる」と考えるのは危険です。 雇用契約書と配置を、選んだ分野の主たる業務に合わせます。

対象となる主な業務

入管庁の職務記述書が示す主な業務は次のとおりです。

  • 製材
  • 単板の製造
  • 木材チップの製造
  • 合板・集成材の製造
  • プレカット加工
  • 銘木・床板の製造

分野の範囲は「木材・木製品の製造・加工」で、家具や建具などの装備品は除外されています。名称が似ていても、家具製造の現場を木材産業分野として扱うことはできません。

対象事業所にも業種要件がある

外国人本人の作業だけでなく、勤務する事業所が日本標準産業分類上の対象業種を行っていることも必要です。対象は製材・木製品製造業、合板製造業、集成材製造業、建築用木製組立材料製造業、銘木製造業、床板製造業です。加工賃を受け取る賃加工業も対象になり得ます。

一方、製品の選別や包装だけを行う事業所は製造業に当たらず、対象外とされています。会社全体の登記目的ではなく、外国人が働く事業所で対象製品を実際に製造・加工しているかが判断の軸です。

関連業務だけに従事させることはできない

原木・資材の受入れ、製品検査、運搬、梱包、積込み、作業場所の清掃などは、日本人も通常行う関連業務として付随的に任せられます。ただし、検品や出荷、清掃だけに専従させることはできません。

採用時には「工場作業」とひとまとめにせず、主たる加工工程と付随作業を職務表に分けてください。配置転換時も対象内か確認します。

必要な技能試験と日本語要件

試験ルートでは、木材産業特定技能1号測定試験と、日本語教育の参照枠でA2.2相当以上の日本語能力が必要です。日本語要件を満たす試験には、国際交流基金日本語基礎テストと日本語能力試験N4以上があります。試験制度の共通事項は特定技能の日本語要件も確認してください。

2026年7月29日時点で、林野庁は技能試験の実施要領と学習用教材を公表し、実施機関の申込案内へリンクしています。試験は準備段階ではなく実施されています。なお2026年1月23日の分野別運用方針では試験名が「木材産業特定技能1号評価試験」とされており、名称や日程は最新案内で確認してください。

技能実習2号から移行する場合

「木材加工職種・機械製材作業」の技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験の免除対象です。他職種の技能実習2号を良好に修了した人は日本語試験が免除されますが、木材産業の技能試験は原則として必要です。

単に「技能実習2号修了者」と確認するだけでは足りません。修了した職種・作業と、専門級実技試験の合格証明書など免除を立証する書類まで確認してください。技能実習と特定技能の違いも踏まえ、在留期限から逆算して準備します。

協議会加入は在留申請より前に行う

受入企業は、現在の「木材産業特定技能・育成就労協議会」へ外国人を受け入れる事業所ごとに加入します。登録支援機関は加入対象ではありません。加入前には、全国木材組合連合会から作業安全規範の取組状況の確認を受け、確認証を取得します。

協議会への申請には定款等、事業所の機械設備一覧表、確認証が必要です。交付される構成員資格証明書は在留諸申請の添付書類になります。林野庁は確認に相当程度の時間を要すると案内しているため、在留申請の直前に着手しては間に合わない可能性があります。

安全教育は機械を止める判断まで伝える

受入事業所は、林野庁の「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」の木材産業向け項目に取り組み、加入時とその後おおむね2年ごとに確認を受けます。

木材加工では、丸のこや回転軸への接触・巻き込まれ、点検時の機械停止などを確実に伝える必要があります。日本語試験への合格だけで、安全指示を理解できるとは限りません。短い文、写真、実演を組み合わせ、本人に手順を再現してもらって理解を確認してください。職場の日本語研修を安全教育と切り離さないことが重要です。

特定技能2号は対象外、育成就労は対象

木材産業は特定技能2号の対象ではありません。特定技能1号の在留は通算5年が上限であり、木材産業のまま2号へ移る制度上のルートはありません。長期雇用を前提にする企業は、5年後まで含めて本人へ説明する必要があります。

一方、木材産業は2027年4月1日に始まる育成就労の対象です。林野庁は分野別資料や協議会の様式を順次公表していますが、施行前で更新が続く段階です。育成就労制度を参照し、採用時点の運用要領を確認してください。

受入れ前の確認項目

  • 勤務事業所が対象業種を実際に営んでいるか
  • 主たる仕事が木材・木製品の製造加工か
  • 候補者の試験合格または免除書類がそろうか
  • 安全規範の確認と協議会加入を在留申請前に終えられるか
  • 機械の安全手順を本人が理解できる方法で教えられるか
  • 1号の通算5年後まで本人へ説明しているか

FAQ

Q1. 木を伐採する仕事を木材産業の特定技能外国人に任せられますか? → 木材産業の主たる業務は事業所での木材・木製品の製造加工です。山林での育林や素材生産は林業分野として確認してください。

Q2. 家具工場は木材産業分野の対象ですか? → 入管庁の職務記述書では家具や建具などの装備品が除外されています。使用材料だけで判断せず、事業所の産業分類と製品を確認してください。

Q3. 技能試験はすでに実施されていますか? → 実施されています。林野庁のページに実施要領、教材、実施機関の申込案内があります。日程と会場は更新されるため最新情報を確認してください。

Q4. 登録支援機関も協議会へ加入しますか? → 登録支援機関は加入対象ではありません。受入企業が、外国人を勤務させる事業所ごとに加入します。

Q5. 木材産業から特定技能2号へ移行できますか? → 2026年7月29日時点で木材産業は2号の対象外です。1号は通算5年が上限なので、採用時に中長期の見通しを本人と共有してください。

まとめ

木材産業は、山林で育林・素材生産を行う林業ではなく、対象事業所で木材・木製品を製造加工する分野です。家具・建具の製造や、選別・包装だけの事業所は対象になりません。

受入れでは試験確認に加え、作業安全規範の確認、事業所単位の協議会加入、機械設備一覧の準備を在留申請前に進めます。業務範囲と安全教育を先に設計することが、制度適合と事故防止の両方につながります。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

資料請求・お問い合わせ