特定技能「ビルクリーニング」とは?客室清掃・受入要件・2号を解説

目次
ホテルで客室清掃を中心に外国人材を採用する場合、特定技能「宿泊」ではなく「ビルクリーニング」が候補になります。宿泊分野では客室清掃は付随的な関連業務ですが、ビルクリーニング分野では客室清掃そのものが主な業務に含まれるためです。ただし、受入企業には建築物清掃業等の登録が必要です。業務だけで分野を決めず、登録を受けた営業所で受け入れられるかまで確認してください。
宿泊分野では清掃専従にできない
特定技能「宿泊」の主な業務は、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等です。客室清掃やベッドメイキングは関連業務として付随的に行えますが、清掃だけに専従させることはできません。
一方、ビルクリーニング分野の主な業務は「建築物内部の清掃」です。厚生労働省の協議会決定は、客室清掃について、床・浴室・トイレ・洗面台等の清掃から備品補充、ベッドメイクまで、客室を商品として納品するための一連の業務と説明しています。ホテルが清掃を主体に採用したい場合はこちらを検討します。
客室清掃以外に従事できる業務
出入国在留管理庁の職務記述書は、対象を「多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部」としています。場所、部位、建材、汚れに応じて方法、洗剤、用具を選び、衛生、美観、安全、保全を維持する清掃です。
ホテルのほか、オフィスビル、商業施設、病院などの内部清掃が該当し得ます。反対に、住宅内部のハウスクリーニングは対象外です。機器・設備の内部清掃も技能評価の範囲外とされています。外周部の清掃や資機材倉庫の整備等は、主な業務とともに行う関連業務として扱います。
受入企業には営業所ごとの登録が必要
受入れの入口は、建築物衛生法第12条の2第1項に基づき都道府県知事から次のいずれかの登録を受けた営業所であることです。
- 建築物清掃業(同項第1号)
- 建築物環境衛生総合管理業(同項第8号)
登録は法人単位ではなく営業所単位です。厚生労働省も、知事登録は営業所で取得する必要があり、法人単位で取得するものではないと案内しています。登録の申請先は、営業所の所在地を管轄する都道府県等(保健所)です。複数営業所で受け入れるなら、それぞれの登録情報を確認します。
清掃を請け負っている会社でも、この登録がなければ条件を満たしません。また、空気環境測定業、貯水槽清掃業、排水管清掃業など、建築物衛生法上の別の登録だけでは足りません。登録には機械器具、清掃作業監督者、従事者研修等の基準があるため、採用開始後に慌てて整える条件ではありません。
ホテル自身が受入企業になる場合の注意
ホテルが自社雇用する場合も、ホテル営業の許可があるだけではビルクリーニング分野の受入要件を満たしません。配属する営業所が建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けている必要があります。
清掃会社に業務を委託し、その清掃会社が特定技能外国人を直接雇用する形なら、登録要件を確認する主体は清掃会社です。分野別運用方針では雇用形態を直接雇用に限定しているため、受入企業と実際の雇用主が誰かも整理してください。
1号で必要な試験
特定技能1号では、原則として次の技能・日本語水準を満たします。
- ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験
- 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上と認められる試験
A2.2相当以上と認められる試験の例が、JFT-Basicや日本語能力試験N4以上です。技能実習2号を良好に修了した場合の試験免除は、修了した職種・作業と移行先の対応を個別に確認します。候補者が清掃経験者であることだけでは免除になりません。
協議会加入は在留申請より前
正式名称はビルクリーニング分野特定技能協議会です。初めて受け入れる企業も、在留諸申請の前に構成員になる必要があります。厚生労働省は加入審査に1か月程度かかるとして早めの申請を案内しています。
加入に費用はかかりません。登録支援機関へ1号支援を委託しても、登録支援機関が受入企業に代わって構成員になることはできません。加入申請では、受入予定者に加えて登録営業所の所在地、登録番号、有効期間等を入力します。
複数現場と単独作業を前提に教育する
ビルクリーニングでは早朝・深夜を含む勤務や、日によって複数現場を回る配置があり得ます。採用時には勤務時間だけでなく、集合場所、現場間の移動方法、着替えや準備、移動時間の扱いを雇用条件と運用の両方で明確にします。
単独で作業する時間が長い現場では、汚損、設備異常、遺失物、事故を発見しても、その場に指導者がいないことがあります。写真付きの報告様式、異常時に中断する基準、連絡先、定時連絡を用意し、やさしい日本語で反復します。試験合格だけを単独配置の判断材料にしないことが重要です。
特定技能2号は技能・実務経験・日本語が必要
2号の技能水準は、ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験、または技能検定1級(ビルクリーニング)です。加えて、対象となる建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理した実務経験が必要です。分野別運用方針は経験内容を定めており、一律の年数は定めていません。
2026年1月23日改正の分野別運用方針では、日本語能力もB1相当以上とされました。2号の業務は、清掃をしながら複数作業員を指導して現場を管理する業務と、計画作成、進行管理等です。1号の段階から、担当現場、指導人数、計画・品質・安全管理の内容を記録しておくと、実務経験の説明に使えます。
受入れ前の確認順
- 清掃を主業務にするのか、宿泊サービスを主業務にするのか決める
- 実際の雇用主と配属する営業所を確定する
- 営業所の登録種別、番号、有効期間を確認する
- 候補者の技能試験、日本語試験または免除要件を確認する
- ビルクリーニング分野特定技能協議会へ加入する
- 現場別の作業、移動、報告、安全教育を設計する
技能試験の確認方法と営業所要件を並行して確認すれば、候補者決定後に受入不可と判明するリスクを抑えられます。
FAQ
Q1. ホテルの客室清掃だけを任せられますか? → ビルクリーニング分野では、床や浴室等の清掃、備品補充、ベッドメイクを含む一連の客室清掃が主な業務に含まれます。ただし、雇用主の登録営業所が分野の受入要件を満たす必要があります。
Q2. ホテル営業の許可があれば受け入れられますか? → それだけでは足りません。建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所での受入れが必要です。
Q3. ハウスクリーニングは対象ですか? → 対象外です。ビルクリーニング分野は住宅を除く建築物内部の清掃を対象としています。
Q4. 2号の要件は何ですか? → 2号評価試験または技能検定1級、複数の作業員を指導しながら現場を管理した実務経験、B1相当以上の日本語能力が必要です。
まとめ
客室清掃を主体に採用するなら、宿泊分野ではなくビルクリーニング分野が候補です。客室の床・水回りの清掃から備品補充、ベッドメイクまでを一連の主な業務として任せられます。
ただし、制度上の入口は業務内容だけではありません。受入れは、建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所に限られ、在留申請前の協議会加入も必要です。現場が分散し単独作業になりやすいからこそ、異常時の報告、安全指示、日本語教育まで採用前に設計してください。