制度解説

特定技能の雇用契約書の作り方|雇用条件書で確認する10項目

特定技能外国人を雇用するときは、一般の労働条件明示に加え、特定技能雇用契約が制度上の基準を満たす必要があります。出入国在留管理庁は、参考様式第1-5号「特定技能雇用契約書」と第1-6号「雇用条件書」を公開しています。

求人票、雇用条件書、在留申請、実際の配属をそろえ、本人が理解できる言語で説明することが契約実務の中心です。

雇用契約書と雇用条件書を一組で使う

参考様式第1-5号は、企業と外国人が雇用契約を締結したことを確認する書面です。具体的な就業場所、業務、時間、賃金、休暇などは、第1-6号の雇用条件書へ記載します。第1-6号には「第1-5号と合わせて使用」と明記されています。

自社様式を併用する場合も、公式様式の項目が欠けていないかを確認します。

労働条件の一般的な明示事項も満たす

労働基準法は、契約期間、就業場所、業務、始業・終業、残業、休憩、休日、休暇、賃金、退職などの労働条件を明示するよう求めています。2024年4月以後は、就業場所と業務について、雇入れ直後だけでなく変更の範囲も明示します。

有期契約では、更新の有無・判断基準と、通算契約期間や更新回数の上限があれば記載します。在留期間と労働契約期間は別です。

項目1は契約期間と就業開始日

契約開始・終了日、有期契約の更新、更新判断の要素を具体的にします。在留資格認定証明書や変更許可の結果が出る前に、対象業務で働き始めることはできません。海外から採用する場合は入国日も確定していないため、就業開始の条件を契約書内で整理します。

試験合格や在留許可の見込みだけで勤務させないよう、採用、人事、現場の開始指示を一本化します。特定技能の申請手順と契約日程を合わせてください。

項目2は就業場所と変更の範囲

雇入れ直後の事業所名と所在地に加え、転勤や応援勤務があり得る範囲を記載します。「会社の定める場所」とだけ書くと、本人が勤務先を予測できず、在留資格上の対象事業所かも確認しにくくなります。

複数事業所で働くなら、各事業所が分野固有の要件を満たすか確認します。勤務地等の変更は、契約と届出義務を連動させます。

項目3は分野と業務区分に合う職務

業務欄には、特定産業分野、業務区分、実際の主な作業を一致させて記載します。「工場作業」「接客全般」のような広すぎる職務名だけでは、在留資格に該当する業務かを判断できません。

関連業務に付随的に従事できる場合でも、関連業務だけに専従させることはできません。将来の変更範囲も、本人が取得した業務区分と企業の対象事業の範囲内にします。特定技能の分野一覧で最新の区分を確認してください。

項目4は所定労働時間と勤務表

始業・終業、休憩、休日、交替制、所定時間外労働の有無を記載します。変形労働時間制を使う場合は、制度を適法に導入し、本人が理解できる言語を併記した年間の勤務予定も用意します。

特定技能外国人の所定労働時間は、企業が雇用する通常の労働者と同等であることが必要です。申請用の時間だけを整えず、就業規則、シフト、勤怠記録と一致させます。

項目5は報酬と手当の内訳

基本給、手当、割増賃金率、締切日、支払日、支払方法、昇給、賞与を区分します。報酬は、同じ業務に日本人が従事する場合の額と同等以上とします。

通勤費など実費弁償の性格を持つ手当を足して、同等額に見せないようにします。比較対象、職務、責任、経験と金額差の説明は同等報酬要件に沿って別途記録します。

項目6は控除と本人負担

税、社会保険料のほか、社宅費、食費などを給与から控除する場合は、項目と見込額を示します。法定控除以外の賃金控除には労使協定が必要です。本人の署名だけで自由に控除できるわけではありません。

住居費などは実費相当等の適正な額とし、算定根拠を説明します。支援計画に基づく義務的支援の実施費用を本人に負担させてはいけません。帰国旅費に充てる積立金を報酬から控除して会社で管理することも認められません。

項目7は休暇と一時帰国

年次有給休暇、その他の休暇、一時帰国休暇を記載します。契約基準では、本人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることが求められます。年次有給休暇を使い切った後の申出にも、有給・無給の休暇取得へ配慮します。

業務上やむを得ず認められない場合は代替日を提案し、取得を理由とする不利益な扱いをしません。休暇の扱いを口頭合意だけにせず、就業規則と雇用条件書をそろえます。

項目8は退職・解雇と帰国費用

定年、自己都合退職、解雇の手続を記載します。解雇予告に関する労働法令を守ることに加え、契約終了後に本人が帰国旅費を負担できない場合、受入企業が旅費を負担し、円滑な出国のための措置を取ることが特定技能雇用契約の基準です。

旅券や在留カードを企業が預かって退職を妨げてはいけません。退職、転職、帰国のどれになるかで必要な在留・支援手続が変わるため、本人の意思を確認します。

項目9は社会保険と安全衛生

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の適用を確認し、本人負担分と会社負担分を説明します。加入対象なのに「本人が希望しない」という理由で外すことはできません。

健康診断、安全教育、保護具、相談先も入社前に案内します。保険名の記載だけで手続が済んだと考えず、資格取得と給与控除を確認してください。

項目10は理解できる言語での説明と確認

雇用条件書は、本人が十分に理解できる言語で作成し、内容を理解したうえで署名を受けます。入管庁は多言語様式を公開しています。翻訳版を渡すだけでなく、業務、賃金、控除、休暇、退職について質問を受け、本人が理解した内容を確認します。

通訳を使った場合は、言語、通訳者、説明日、質問と回答を記録します。署名を急がせず、求人時の条件から変更がある場合は、契約締結前に変更点を対照して説明してください。

契約後の変更は申請・届出・現場へ反映する

勤務地、業務、報酬、労働時間などを変更する場合、本人との合意だけで終わりません。労働契約上の手続、特定技能雇用契約の基準、在留資格の活動範囲、入管庁への届出の要否を確認します。

最新版の契約書・雇用条件書を人事、給与、現場、支援担当で共有します。申請書だけが旧条件のままという状態を防いでください。

FAQ

Q1. 入管庁の参考様式を使えば契約は適法になりますか? → 様式の使用だけでは足りません。記載した内容が労働法令と特定技能の基準に適合し、求人・申請・実際の勤務と一致する必要があります。

Q2. 雇用契約は在留許可後に結べばよいですか? → 特定技能の在留申請では雇用契約に関する書類が必要です。契約を先に整えますが、対象業務の就労は必要な在留許可と入国後に開始します。

Q3. 社宅費を給与から引けますか? → 法定控除以外の賃金控除には労使協定を確認し、本人へ項目と額を説明します。住居費は適正な額とし、義務的支援の費用を本人へ転嫁できません。

Q4. 配置転換は契約に書けば自由にできますか? → できません。労働契約上の変更範囲に加え、本人の特定技能分野・業務区分と事業所要件の範囲内か、届出や在留手続が必要かを確認します。

まとめ

特定技能の雇用契約書は、参考様式第1-5号と雇用条件書第1-6号を一組で使い、一般の労働条件明示と特定技能固有の基準を反映します。契約期間、勤務地、業務、時間、報酬、控除、休暇、退職、帰国費用、保険を具体的に記載します。

最も重要なのは、求人、契約、在留申請、実際の配属を一致させることです。本人が理解できる言語で説明し、変更時には契約・申請・届出を同時に更新してください。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

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