採用・受入れ実務

就労できる在留資格の一覧|働ける・働けないの見分け方を解説

外国人を採用できるか、どの仕事を任せられるかは在留資格で変わります。企業は資格名だけでなく、在留カードの就労制限欄、資格外活動許可、在留期限を確認します。本記事では在留資格を就労制限なし・定められた範囲で就労可・原則就労不可に分け、採用時の判断方法を整理します。

在留資格は就労可否で3つに分けて考える

企業の採用実務では、次の3分類が分かりやすいです。

  1. 就労制限がない:身分・地位に基づく4資格
  2. 定められた活動の範囲で就労できる:技術・人文知識・国際業務、特定技能など
  3. 原則として就労できない:留学、家族滞在など

「特定活動」は法務大臣が個別に活動を指定するため、指定書の内容で就労可否が変わります。

在留資格の全体像

出入国在留管理庁の在留資格一覧表に沿うと、次のとおりです。

区分 在留資格
活動範囲内で就労できる 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習
原則就労できない 文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
指定内容による 特定活動
就労制限がない 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

就労制限がない4つの在留資格

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者には業種・職種の制限がありません。入管法別表第二の在留資格で、就労活動に制限がないため資格外活動許可の対象にもなりません。

ただし永住者以外は在留期限の管理が必要で、雇入れ・離職時の外国人雇用状況の届出などの手続は残ります。

特別永住者は在留資格ではなく、入管特例法に基づく法的地位です。特別永住者証明書または特定特別永住者証明書が交付され、届出の対象外です。

活動範囲内で就労できる主な在留資格

民間企業の採用で特に確認機会が多いのは次の資格です。

在留資格 主な対象
技術・人文知識・国際業務 技術者、通訳、企画等。学歴・専攻または実務経験と業務の関連性を審査
特定技能 人手不足の19分野(一部は受入れ準備中)。1号は技能・日本語試験等と支援体制が必要
技能実習 技能等の移転が目的。2027年4月1日に育成就労が施行予定
介護 介護福祉士資格を持ち、介護等に従事する人
企業内転勤 海外の関係事業所から期間を定めて転勤する人
高度専門職 学歴・職歴・年収等のポイント制で認定される高度人材
経営・管理 事業の経営・管理を行う人。2025年10月に基準改正

現場業務の人手が必要なら特定技能、専門的な業務なら技術・人文知識・国際業務が基本です。分野一覧や担当業務と照らし、活動範囲を超えないことを確認してください。

技術・人文知識・国際業務の学歴・経験要件

原則は、業務に関連する大学等の卒業・修了、一定の専門学校課程の修了、または10年以上の実務経験です。実務経験には関連科目を専攻した期間を含められます。

国際業務は原則として関連業務の3年以上の実務経験が必要です。ただし大学卒業者が翻訳・通訳または語学指導に従事する場合は例外があります。いずれも日本人と同等額以上の報酬が必要で、「大卒ならどの職務でも許可される」制度ではありません。

「特定活動」は指定書で確認する

特定活動は、法務大臣が個々の外国人について活動内容を指定する在留資格です。指定書はパスポートに添付され、そこに書かれた活動の範囲でのみ在留と就労が認められます。

継続就職活動、内定後の待機、特定技能1号への移行準備など内容は多岐にわたります。在留カードの表面では判断できないため、指定書の写しを必ず確認します。業務の主たる内容を変える場合は在留資格変更が必要です(副次的な業務は資格外活動許可で対応できる場合があります)。

原則として就労できない在留資格

文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在は就労目的の在留資格ではなく、そのままでは報酬を受ける活動に従事させられません。

このうち留学と家族滞在は、次の資格外活動許可でアルバイト的な就労が可能になります。文化活動と研修は包括許可の対象として案内されていないため個別の確認が必要で、短期滞在では原則就労できません。

資格外活動許可で働ける範囲

留学・家族滞在の人も資格外活動許可(包括許可)があれば、原則1週28時間以内で働けます。風俗営業や性風俗特殊営業(店舗型・無店舗型・映像送信型)、電話異性紹介営業、特定遊興飲食店営業に関わる活動は不可です。

留学生は、在籍する教育機関が学則で定めた長期休業期間に限り1日8時間以内まで認められます。この特例は家族滞在にはありません。また留学生の包括許可は在籍中の活動に限られ、卒業・退学後は範囲外です。28時間は勤務先ごとではなく合計で管理します。在留カードの確認方法も参照。

短期滞在からの変更は原則できない

短期滞在では原則就労できず、他の在留資格への変更もやむを得ない特別の事情がなければ許可されません。認定証明書が交付済みでも同じです。

在留資格を間違えたときのリスク

在留資格で認められていない業務に従事させた場合、入管法第73条の2の不法就労助長罪に問われる可能性があります。事業活動に関して不法就労活動をさせた者には、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

同条第2項では、在留資格外の活動や無許可を知らなかったという理由では処罰を免れず、過失がない場合だけが例外です。在留カードや指定書を確認し、記録を残してください。

さらに同法第76条の2の両罰規定により、従業員が業務に関して違反した場合は法人にも罰金刑が科されます。申請段階で資格の選定を誤れば許可も下りません。

採用時に確認する順番

  1. 任せる業務を具体化する
  2. 在留カード表面の就労制限と在留期限を確認する(在留カードが交付されない人は旅券の証印や指定書、特別永住者は特別永住者証明書で確認)
  3. 裏面の資格外活動許可を確認する
  4. 特定活動や特定技能なら指定書を確認する
  5. 在留資格の活動範囲と実際の業務を照合する
  6. 必要なら在留資格変更後を入社日とする

登録支援機関が担うのは主に特定技能1号の支援です。在留資格全般の申請判断は、入管庁や申請取次を扱う行政書士・弁護士へ確認します。

FAQ

Q1. 特別永住者は就労制限のない在留資格ですか? → 就労に制限はありませんが、在留資格ではなく入管特例法上の地位です。特別永住者証明書または特定特別永住者証明書で確認します。

Q2. 留学生を週28時間までなら必ず雇えますか? → 資格外活動許可が必要です。他社分を含む合計時間、風俗営業等でないこと、在籍中であることも確認します。

Q3. 技術・人文知識・国際業務なら工場の単純作業もできますか? → 資格に対応する専門的業務が前提で、単純作業を主たる業務にすることはできません。

Q4. 短期滞在中の人を国内で採用できますか? → 短期滞在からの変更は、やむを得ない特別の事情がない限り原則認められません。

Q5. 確認を怠って不法就労になった場合、企業も罰せられますか? → 入管法第73条の2により、事業活動に関して不法就労活動をさせた者が処罰対象です。知らなかったことは原則として免責されず、法人にも両罰規定が適用されます。

まとめ

採用可否は、資格名だけでなく在留カード・指定書・資格外活動許可と実際の業務を照合して判断します。特に技術・人文知識・国際業務の業務関連性、留学・家族滞在の28時間管理、特定活動の指定内容は見落とせません。

確認を省くと、許可が下りないだけでなく不法就労助長罪と両罰規定のリスクが残ります。確認の記録は過失の判断で自社を守る材料になります。外国人採用全体の進め方も参照。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

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