採用・受入れ実務

外国人採用の進め方|在留資格の選び方から手続き・費用まで

外国人採用では、求人を出す前に「任せる業務」と「利用できる在留資格」を照合することが出発点です。在留資格が変われば、募集経路、本人の要件、手続き、支援体制も変わります。本記事では、受入企業が採用から就労開始までに確認する事項を順に整理します。

最初に任せる業務を具体化する

在留資格は、国籍ではなく日本で行う活動に応じて決まります。まず、職種名だけでなく、日常的に任せる作業、配置先、雇用形態まで書き出してください。

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者には原則として就労活動の制限がありません。一方、活動に基づく在留資格では、許可された範囲を外れる業務には従事できません。

主な採用ルートを比較する

ルート 主な対象 本人の主な要件 在留・転職の考え方
特定技能1号 人手不足が認められた19分野 分野別技能試験と日本語試験。免除制度あり 通算5年が原則。転職時も業務区分との適合確認と在留資格変更許可が必要
技能実習 技能等の移転を目的とする実習 認定された技能実習計画に基づく 段階を経て最長5年。実習先の変更は限定的
育成就労 特定技能1号水準の人材育成と人材確保 育成就労計画に基づく予定 2027年4月1日開始予定。転籍を含む詳細は最新資料の確認が必要
技術・人文知識・国際業務 専門知識を要する技術・事務・国際業務 関連する大学等の教育、または関連科目の履修を含む原則10年以上の実務経験など(翻訳・通訳・接客などの対人業務は使用言語のB2相当以上も必要) 活動範囲内で就労し、転職時は所属機関に関する届出などが必要

「技術・人文知識・国際業務」は、大学等で専攻した内容と業務との関連性が基本です。実務経験は関連科目の履修期間を含めて原則10年以上ですが、外国文化に基盤を持つ思考・感受性を必要とする国際業務には、原則3年以上という別基準があります。

技能実習2号・3号への移行対象は、2026年4月10日時点で94職種171作業です。すべての技能実習がこの職種・作業数に当てはまるという意味ではありません。

特定技能1号は通算5年が原則ですが、一定要件で6年までの例外があります。長期就労には2号か別の在留資格への移行を検討します。2号は11分野で、介護と後から1号に加わった7分野は対象外です。自社分野の移行先を人員計画に反映してください。

制度ごとに関わる機関を確認する

特定技能1号では、受入企業が支援の基準を満たして自ら支援するか、登録支援機関に支援計画の全部または一部を委託します。

技能実習には企業単独型と団体監理型があります。団体監理型では監理団体が関わりますが、企業単独型に監理団体は入りません。海外採用で送り出し機関が必要かは、制度、送出国の手続き、二国間の取決めによって異なります。

採用から就労開始までの流れ

  1. 任せる業務と配置先を決め、利用できる在留資格を絞る
  2. 受入企業と候補者が満たす要件を確認する
  3. 必要に応じて支援・監理・申請の委託先を選ぶ
  4. 募集・選考を行い、在留資格の基準に合う労働条件で契約する
  5. 海外在住者は在留資格認定証明書、国内在住者は在留資格変更などを申請する
  6. 許可後に入国または配置し、社会保険、届出、支援を開始する

在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月、在留資格変更許可申請は1か月から2か月です。これは標準であり、追加資料や現地手続きによって延びることがあります。許可前の就労開始を前提に日程を組まないでください。

費用は金額ではなく項目で比較する

費用は分野、採用国、人数、委託範囲で変わるため、一律の相場では判断できません。見積もりでは、次の項目と支払先を分けて確認します。

  • 人材紹介や募集に関する費用
  • 支援機関・監理団体への委託費
  • 国ごとの送出手続きに関する費用
  • 在留申請の実費と申請取次の報酬
  • 渡航、住居、家具、生活立上げの費用
  • 日本語教育と業務研修の費用
  • 給与、社会保険料、定期的な支援の運用費

企業が住居を借り上げて社宅として提供する場合、特定技能では本人から徴収できる居住費は賃料等を入居人数で按分した実費までで、敷金・礼金・仲介手数料を本人に負担させることはできません。家具家電などの扱いも採用前に決めて本人に説明します。

雇用後に企業が負う義務

外国人雇用状況の届出は、外国人を雇い入れたときと離職したときに必要です。ただし、在留資格「外交」「公用」の人と特別永住者は対象外です。雇用保険の被保険者かどうかで届出方法も変わります。

加えて、在留資格に合う業務への配置、適正な労務管理、適用要件を満たす場合の社会保険の手続きが必要です。特定技能や「技術・人文知識・国際業務」では、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることも審査上の基準です。

特定技能1号では、1号特定技能外国人支援計画を作成し、実施します。全部を登録支援機関に委託した場合、同機関が支援の実施主体になりますが、受入企業には雇用契約の履行、在留・雇用に関する届出、労務管理などが残ります。

採用後の定着まで設計する

試験合格は、配属先の指示、社内用語、方言まで理解できることを保証しません。就労開始前に、指示の出し方、相談担当者、学習時間、評価方法を決めてください。

住居、医療、行政手続き、送金などの生活上の課題も就労に影響します。法定支援の有無にかかわらず、本人が相談先を理解し、企業側が問題を早期に把握できる運用が定着につながります。

育成就労への移行に備える

育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、2027年4月1日に施行予定です。原則3年で特定技能1号水準の人材を育成・確保し、計画認定と監理支援機関による監理・支援を軸とします。

転籍の制限期間や分野別要件、技能実習からの経過措置は省令・運用要領として公表済みで、細部は今後も更新されます。現行の技能実習と混同せず、申請時点の省令・運用要領を確認してください。

FAQ

Q1. 外国人採用にはどれくらいの期間がかかりますか? → 入管庁が公表する標準処理期間は、在留資格認定証明書が1か月から3か月、在留資格変更が1か月から2か月です。募集、試験、国別手続き、追加資料の期間は別に見込みます。

Q2. 特定技能1号は同じ分野なら自由に転職できますか? → 自動的に就労できるわけではありません。同じ業務区分か、技能水準の共通性が確認された業務区分であることを確かめ、転職先を所属機関とする在留資格変更許可を受ける必要があります。

Q3. 特定技能で受け入れれば長期的に働いてもらえますか? → 特定技能1号は通算5年が原則です。長期就労には2号または要件を満たす別の在留資格への移行が必要で、2号の対象は11分野に限られます(介護と、1号に後から追加された分野は対象外です)。

Q4. 支援を全部委託すれば、受入企業の対応はなくなりますか? → なくなりません。登録支援機関が支援を実施しても、雇用契約の履行、届出、労務管理などは受入企業が行います。役割分担を委託契約で明確にしてください。

Q5. ハローワークでは身分系の在留資格を持つ人だけを採用できますか? → いいえ。ハローワークは外国人求職者への職業相談・紹介も行っています。ただし、採用後に予定する業務が本人の在留資格で認められるかは企業側でも確認が必要です。

まとめ

外国人採用は、任せる業務を具体化し、その業務に合う在留資格を選ぶことから始まります。その後に本人要件、受入要件、支援体制、申請日程、費用項目を順に確認すれば、採用後の配置違反や日程の手戻りを防ぎやすくなります。

制度名だけで委託先や転職可否を決めず、採用時点の公的資料と個別事情で判断してください。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

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