特定技能「造船・舶用工業」とは?3つの業務区分と試験・2号要件を解説

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特定技能「造船・舶用工業」は、造船・舶用機械・舶用電気電子機器の3区分で受け入れる制度です。溶接や塗装は独立した現行業務区分ではなく、複数の新区分に含まれる作業です。一方、試験実施機関の案内には旧6区分の試験が残っており、制度上の区分と受験する試験名が一致しない場合があります。受入企業は、採用前に「担当作業・取得済み試験・申請する区分」の対応を確認しなければなりません。
造船・舶用工業分野の位置づけ
造船・舶用工業は特定技能の19分野のひとつで、1号と2号の双方が設けられています。雇用形態は直接雇用に限られ、派遣での受入れはできません。
1号と2号では求められる技能水準が異なります。2号は更新回数の上限がなく、要件を満たせば配偶者・子の帯同も可能です。
現行の業務区分は3つ
2024年3月29日の閣議決定で、従来の6区分は次の3区分に再編されました。
| 業務区分 | 主な製造工程 |
|---|---|
| 造船 | 溶接、塗装、鉄工、とび、配管、船舶加工 |
| 舶用機械 | 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、配管、鋳造、金属プレス加工、強化プラスチック成形、機械保全、舶用機械加工 |
| 舶用電気電子機器 | 機械加工、電気機器組立て、金属プレス加工、電子機器組立て、プリント配線板製造、配管、機械保全、舶用電気電子機器加工 |
運搬、検査、工具の保守、清掃など、日本人が通常行う関連業務には付随的に従事できます。ただし、関連業務だけに専従させることはできません。
試験名には経過措置がある
2026年1月23日の分野別運用方針は、3区分それぞれの1号評価試験と、区分に対応する技能検定3級などを技能水準として定めています。
一方、日本海事協会の2026年7月29日時点の案内は、1号を溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立ての旧6区分で掲載しています。経過措置により、旧区分の試験に合格した人は、その旧区分が含まれる新区分のすべての業務に従事できます。たとえば溶接・塗装・鉄工の合格は造船と舶用機械の両区分に、機械加工は舶用機械と舶用電気電子機器に対応します。
「溶接試験に合格したから溶接だけを任せる」という管理では現行区分を表せません。 合格証と申請区分を対応表で確認してください。
1号の技能・日本語要件
1号では、申請する区分に対応する評価試験、技能検定3級など、分野別運用方針に定められた技能水準を満たす必要があります。対象となる技能実習2号を良好に修了した場合は、対応関係に応じて試験が免除される経路があります。
日本語は日本語教育の参照枠のA2.2相当以上です。JFT-Basicや日本語能力試験N4以上は、この水準を確認する試験の例です。技能実習からの移行を含め、候補者ごとに免除の根拠書類まで確認してください。試験全般は特定技能の試験ガイドで整理しています。
2026年の試験受付は終了している
日本海事協会は、造船・舶用工業分野の試験を申請者の希望場所へ試験監督者を派遣する方式などで実施しています。ただし、同協会は2026年分の受付を終了し、2027年分は受付再開時に案内すると公表しています。
候補者が必要な試験に合格済みか、次回の受付に間に合うかを、採用判断の最初に確認してください。
特定技能2号は3区分すべてが対象
2号も造船・舶用機械・舶用電気電子機器の3区分が対象です。区分に対応する2号評価試験または技能検定1級などに加え、複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として2年以上の実務経験が必要です。2026年方針は日本語をB1相当以上と定めていますが、適用時期と証明方法は新しい運用要領で確認します。
監督経験とは、役職名だけでは判断されません。現行の要領別冊は、作業指示、製作物の確認、安全設備・作業場環境の点検、作業計画の作成、進捗管理などを例示しています。受入企業には、本人から求められたときに実務経験を証明する書面を交付する義務があります。
2号申請の直前に証明書を作る運用では、実態を裏付けられません。 指揮した人数、期間、担当工程、指示・安全確認・進捗管理の記録を1号の段階から残してください。
受入企業は国土交通省の確認が必要
受入企業は、造船法に基づく事業、小型船造船業、その他の造船・舶用工業分野の事業を営む者でなければなりません。在留諸申請の前に、国土交通省から造船・舶用工業事業者であることの確認を受けます。
国土交通省の案内では、事業者確認の様式第1号と協議会加入の様式第7号を同時に申請します。審査の目安は15営業日程度ですが、申請件数や不備により変わるため、採用日程に余裕を持たせてください。
協議会加入は在留申請より前
2024年6月15日以降、初めて受け入れる企業も、在留諸申請時に造船・舶用工業分野特定技能協議会の構成員であることの証明書を提出します。
1号支援計画の全部を登録支援機関へ委託する場合、その登録支援機関も協議会の構成員である必要があります。委託先が登録支援機関として登録済みでも、この分野の協議会加入がなければ足りません。
2026年7月から研修が受入要件に加わった
2026年7月2日施行の国土交通省告示は、受入企業の基準に、特定技能外国人へ必要な訓練または研修を行うことを追加しました。分野別運用方針は、多能工としての技能向上や、将来の管理業務を見据えた研修を例示しています。
形式的な安全説明だけで終わらせず、担当工程、区分内の技能拡大、2号に必要な監督業務、日本語の学習を結び付けた育成計画にしてください。溶接や高所作業を含む現場では、本人が理解できる方法で危険箇所と作業手順を伝え、理解を確認する運用も欠かせません。
受入れ前の確認手順
- 実際の作業を3区分のいずれかに当てはめる
- 候補者の合格証・技能実習歴と新区分の対応を確認する
- 国土交通省へ事業者確認と協議会加入を同時申請する
- 委託する登録支援機関の協議会加入を確認する
- 雇用契約、支援計画、訓練・研修計画を整えて在留申請する
- 2号を見据え、監督経験を継続して記録する
FAQ
Q1. 溶接は現在も独立した業務区分ですか? → いいえ。現行区分は造船・舶用機械・舶用電気電子機器の3つです。ただし、旧区分の溶接試験の合格者は経過措置により、造船と舶用機械の両区分の業務に従事できます。
Q2. 造船所の構内で働く請負会社も受入企業になれますか? → 所在場所だけでは判断できません。自社が造船・舶用工業分野の事業を営み、国土交通省の事業者確認を受けられるかを、在留申請前に確認する必要があります。
Q3. 特定技能2号には何年の実務経験が必要ですか? → 現行の要領別冊では、複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として2年以上の実務経験が必要です。技能試験等と日本語の要件も最新資料で確認してください。
Q4. 2026年中にこれから試験を申し込めますか? → 日本海事協会は2026年分の受付終了を公表しています。候補者が合格済みでない場合は、2027年分の受付案内を同協会の公式ページで確認してください。
まとめ
造船・舶用工業分野の現行業務区分は、造船・舶用機械・舶用電気電子機器の3つです。試験案内には旧区分が残るため、合格証と新区分の対応確認が採用実務の要になります。
受入企業は、在留申請前に国土交通省の事業者確認と協議会加入を済ませます。2026年7月からは必要な訓練・研修も受入要件に加わりました。1号の採用時から区分内の技能向上と監督経験の記録を設計することが、2号への移行と長期定着につながります。