制度解説

特定技能外国人の配置転換・転勤|業務区分と事業所変更の手続き

特定技能外国人へ人事異動を命じる前に、①雇用主、②特定産業分野、③業務区分、④事業所の四つが変わるかを分けて確認します。同じ会社の配置転換でも、労働契約に書けばどの仕事でも任せられるわけではありません。

一方、「業務区分は一切変更できない」という説明も正確ではありません。同じ特定産業分野内なら、変更先の技能を証明し、雇用契約変更の届出を行う仕組みがあります。分野を越える場合や雇用主が変わる場合は手続が異なります。

在留カードだけでは分野・業務区分が分からない

在留カードの資格欄には「特定技能1号」または「特定技能2号」と表示されますが、任せられる具体的な分野・業務区分をカードだけで判断することはできません。

分野等は旅券に添付された指定書に記載されます。人事担当者は、指定書、雇用条件書、技能試験の合格証明書や技能実習修了による免除資料を確認します。特定技能の分野・業務区分と現場の予定作業を照合してください。

最初に四つの変更を切り分ける

異動案を次の順で確認します。

  1. 雇用主となる法人は変わるか
  2. 特定産業分野は変わるか
  3. 同じ分野内で業務区分が変わるか
  4. 同じ業務区分のまま事業所だけ変わるか

「同じ企業グループ」「同じ職種名」という説明では手続を決められません。法人番号、分野、正式な業務区分、事業所の許可・登録を基準にします。

同じ業務区分内でも対象業務を確認する

同じ事業所内の配置転換で、本人が現在認められている業務区分の主たる業務に従事し続けるなら、直ちに分野変更となるとは限りません。ただし、分野別運用要領で定める対象業務と、実際の作業が一致する必要があります。

日本人が通常行う関連業務に付随的に従事できる場合でも、関連業務だけへ恒常的に配置することはできません。職務名ではなく、1日の作業と責任を記録します。

なお宿泊分野では、在留期間の一部の期間にフロント係だけへ配置するなど、特定の業務のみへの従事も差し支えないとされています。

同一分野内の業務区分変更は一律禁止ではない

出入国在留管理庁の現行運用要領は、同じ特定産業分野内で業務区分を変更する場合、特定技能雇用契約に係る届出を行い、変更後の区分に必要な技能を証明する資料を添付するよう定めています。

本人が変更先の技能試験に合格しているか、技能実習修了による免除がその区分に対応するかを、異動決定前に確認します。元の区分の合格証が、同じ分野内の全区分に自動で通用するとは限りません。

特定産業分野を変えるなら在留資格変更が必要

運用要領は、業務区分の変更に特定産業分野の変更を伴う場合、在留資格変更許可申請が必要と明記しています。在留カード上の資格名が「特定技能」のままでも、許可前に新しい分野の仕事へ移すことはできません。

例えば、外食業から飲食料品製造業へ移す場合は、社内の配置転換通知だけでは足りません。本人が新分野の技能・日本語要件を満たし、企業と事業所が新分野の受入要件を満たすことを確認して申請します。

グループ会社への転籍は雇用主変更

親会社から子会社へ移すなど、雇用契約の相手方となる法人が変わる場合は、同じ企業グループでも所属機関の変更です。出入国在留管理庁は、特定技能外国人が所属機関を変更するときは在留資格変更許可申請が必要と案内しています。

新しい会社での就労は許可後に始めます。旧会社での雇用終了、新会社との契約、支援計画、協議会、分野別資料を一つの予定表で管理してください。なお、育成就労の本人意向による転籍は、本記事で扱う会社主導の異動とは別の仕組みです。

事業所変更は分野固有の要件を再確認する

雇用主と業務区分が同じでも、勤務地を別の店舗・工場・施設へ移す場合があります。変更先事業所が分野別の許可、登録、認証、協議会手続などを満たすかを確認します。

入管庁の雇用契約変更に関する提出資料一覧は、介護、工業製品製造業、ビルクリーニング、宿泊、外食業について、事業所変更時の分野別資料を挙げています。住所だけを書き換えず、変更先の営業許可等を先にそろえます。

雇用契約の変更届は14日以内

特定技能所属機関が特定技能雇用契約を変更した場合、変更事由が生じた日から14日以内に届出を行います。必要に応じ、変更後の契約内容や分野別要件を証明する資料を添付します。

届出は、変更してよいかを事前承認する手続ではありません。変更先の業務・事業所が基準を満たすことを先に確認し、変更後は期限内に届け出るという順番です。詳細は特定技能の届出義務も参照してください。

支援計画と生活面も同時に更新する

転勤で住居、通勤、相談担当者、支援実施場所が変われば、1号特定技能外国人支援計画の変更届が必要になる場合があります。登録支援機関へ委託していても、対応地域と担当言語を再確認します。

引っ越しを伴う場合、本人は移転から14日以内に新住居地の市区町村で住居地の届出を行います。公共料金、通勤経路、医療機関、防災情報も案内します。人事異動日だけを決め、住居と支援を後回しにしないでください。

労働契約上の変更範囲とも整合させる

2024年4月以後、労働条件の明示では、就業場所と業務の雇入れ直後の内容に加え、変更の範囲も示します。しかし、広い変更範囲を書いても、在留資格上の業務範囲を広げる効果はありません。

異動で賃金、勤務時間、控除、住居が変わる場合は、本人へ変更内容を理解できる言語で説明し、特定技能の雇用契約書を更新します。日本人同等以上の報酬要件も維持します。

派遣先変更は農業・漁業だけの例外

特定技能で派遣形態が認められるのは農業と漁業です。この2分野で派遣先を変える場合は、派遣計画、就業条件明示書、派遣先の概要書など、直接雇用とは異なる書類を確認します。

他分野で「応援」「出向」と呼んで他社の指揮命令下へ置くことは、単なる社内配置転換として扱えません。契約形態を先に確認してください。

異動前の確認チェックリスト

  1. 雇用主の法人は変わらないか
  2. 分野と業務区分は何から何へ変わるか
  3. 本人は変更先区分の技能を証明できるか
  4. 変更先事業所は分野別要件を満たすか
  5. 在留資格変更許可を先に受ける必要があるか
  6. 雇用契約・支援計画の届出が必要か
  7. 住居・通勤・給与・支援を本人へ説明したか

FAQ

Q1. 同じ会社なら別の特定技能分野へ配置できますか? → 社内異動だけではできません。分野変更を伴う場合は、本人と企業が新分野の要件を満たし、在留資格変更許可を受けてから新しい業務を始めます。

Q2. 同じ分野の別の業務区分へ変更できますか? → 一律禁止ではありません。変更先区分の技能証明を確認し、雇用契約変更の届出に証明資料を添付します。

Q3. 同じ法人の別店舗への転勤も届出が必要ですか? → 雇用条件の就業場所を変更する場合は、特定技能雇用契約の変更届と分野別の添付資料を確認します。連絡先だけの変更とは扱いが異なります。

Q4. 子会社への異動なら同じ在留資格のまま働けますか? → 法人が変われば所属機関の変更です。同じグループでも在留資格変更許可申請が必要で、新会社での就労は許可後に開始します。

まとめ

特定技能外国人の異動は、雇用主、分野、業務区分、事業所のどれが変わるかで手続を判断します。同一分野内の業務区分変更は一律禁止ではありませんが、新区分の技能証明と雇用契約変更の届出が必要です。

分野変更と所属機関変更は在留資格変更許可が必要です。事業所変更では分野固有の許可・登録を確認し、雇用契約、支援計画、住居、給与を同時に更新してください。

参考リンク

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