採用・受入れ実務

外国人雇用で使える助成金|2026年度の目的別の選び方

外国人雇用に関係する助成金は、目的を混同すると申請できません。厚生労働省の「最大80万円」という制度は、就業規則の多言語化や相談体制などの就労環境整備が対象で、日本語研修の助成ではありません。2026年度の公表内容を基に、何にどの制度を検討するかを整理します。

助成金は目的から選ぶ

外国人を雇用していることだけで一律に受け取れる制度ではありません。まず支出を次の3つに分けます。

  • 就業規則の多言語化、相談窓口などの就労環境整備
  • 業務に必要な知識・技能を身につける職業訓練
  • 地域の中小企業等を対象とする自治体独自の支援

採用費、在留申請、住居、支援委託、日本語研修を一つの「外国人受入れ費用」にまとめず、目的と対象者を分けてください。外国人採用の費用も項目整理に使えます。

就労環境整備コースの対象

人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースは、次の5つを対象措置として挙げています。

  1. 雇用労務責任者の選任
  2. 就業規則等の多言語化
  3. 苦情・相談体制の整備
  4. 一時帰国のための休暇制度の整備
  5. 社内マニュアル・標識類等の多言語化

1と2に加え、3から5のいずれかを新たに導入し、認定された計画に基づいて実施することが主な要件です。

支給額と離職率の要件

2026年度版では、受給要件をすべて満たした場合、1制度の導入につき20万円、上限80万円です。計画期間終了後の一定期間経過後に、外国人労働者の離職率が15%以下であることも要件に含まれます。

導入しただけで支給が確定するわけではありません。外国人材の定着設計と合わせ、計画前の対象者、実施記録、離職者の扱いを確認してください。

既に実施している制度を同じ内容で続けるだけでは、「新たに導入」の説明ができません。現状の規程、相談経路、翻訳物を計画前に棚卸しし、何を新設・改善するのかを明確にします。

80万円は日本語研修の枠ではない

このコースが列挙する5つの就労環境整備措置に、日本語教育や日本語研修は含まれていません。翻訳、通訳、相談体制の費用と、外国人本人が日本語を学ぶ訓練費用を混同しないことが重要です。

日本語研修は、職務に関連する訓練として計画できる場合、人材開発支援助成金を検討します。実施条件は日本語研修に使える助成金で解説します。

特定技能の義務的支援とも分ける

特定技能1号では、日本語学習機会の提供を含む支援計画が必要です。しかし、制度上の義務を果たせば、その費用が助成対象になるという意味ではありません。

義務的支援10項目、登録支援機関への委託費、研修費を別々に見積もります。助成対象の経費区分と、特定技能制度上の費用負担ルールをそれぞれ確認してください。

東京都には研修等の独自助成がある

東京都は2026年度、中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金を公表しています。一般コースでは、日本語教員による日本語教育、日本語教員が作成する日本語教材、ビジネスマナー・異文化理解の講座を対象とし、対象経費の2分の1、標準プラン上限25万円、短時間プラン上限15万円です。ただしビジネスマナーと異文化理解は単体では実施できず、日本語教育または教材作成と組み合わせる必要があります。

対象となる企業、在留資格、従業員の日本語水準、研修時間などに条件があります。所在地が東京都だから使えると決めず、募集要項と受付状況を確認します。

申請は契約・支出より前に確認する

雇用関係助成金の多くは、計画認定や計画届が先です。研修会社との契約、翻訳の発注、制度導入、支払いを済ませてから相談しても、対象にならないことがあります。

次の順で進めると混同を防げます。

  1. 解決したい課題と対象者を決める
  2. 最新年度の公式資料で対象措置を確認する
  3. 管轄労働局または自治体窓口に提出時期を確認する
  4. 計画認定・交付決定前にできる行為を確認する
  5. 契約、実施、支払い、記録、支給申請を行う

見積書は対象経費を分ける

翻訳、通訳、研修、教材、会場、支援委託が一式表記だと、対象経費を説明しにくくなります。通訳手配住居支援を含め、役務と金額を分けた見積書を取りましょう。

助成対象外の費用が事業上不要ということではありません。制度に合わせて必要な支援を削るのではなく、必要な施策を決めたうえで、対象になる部分を切り分けます。

制度名が同じでも年度によって様式や要件が変わります。この記事の金額・要件は2026年度の公表内容であり、翌年度の計画にそのまま転記しないでください。

FAQ

Q1. 外国人向け日本語研修に最大80万円を使えますか? → 外国人労働者就労環境整備助成コースの対象5措置に、日本語研修は含まれません。職業訓練として別の助成金を検討します。

Q2. 就業規則を翻訳すれば20万円が必ず支給されますか? → 必ずではありません。計画認定、複数措置の導入、離職率など、ほかの要件も満たす必要があります。

Q3. 研修費を支払った後から申請できますか? → 事前の計画届や交付決定が必要な制度があります。契約や支出の前に、最新資料と管轄窓口で確認してください。

まとめ

外国人雇用の助成金は、就労環境整備、職業訓練、自治体支援を分けて選びます。上限80万円のコースは多言語化や相談体制等が対象で、日本語研修の制度ではありません。

2026年度の要件を使い、計画提出、契約、実施、支給申請の順序を確認してから着手してください。

参考リンク

外国人材の日本語教育を、AIで

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