特定技能の住居確保支援とは?企業が確認する3つの方法と家賃設定

目次
特定技能1号の住居確保支援は、物件情報を渡すだけで終わるとは限りません。本人が借りる住居を探す方法、企業が物件を借りて提供する方法、企業所有の社宅を提供する方法のいずれかで、適切な住居を確保できるよう支援します。
支援費用と本人が負担する家賃は分けて考えます。義務的支援の実施費用を本人へ転嫁することはできませんが、企業が毎月の家賃まで負担する義務はありません。 入居から退去までを先に設計します。
住居確保は特定技能1号の義務的支援
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人が安定して生活できるよう、住居の確保と生活に必要な契約を支援計画に定めて実施します。登録支援機関へ全部または一部を委託しても、支援内容と実施状況を企業が把握することは必要です。
住居の支援は、特定技能1号の10の義務的支援の一つです。入国後に探し始めるのではなく、在留資格の申請時点で確保済みか、許可後に確保する予定かを支援計画へ記載します。
最初に本人がすでに住居を確保しているか確認する
国内在住者の転職などで現在の住居に住み続けられるなら、新たな物件は不要な場合があります。一方、会社名義の寮から退去しなければならない人や、海外から入国する人には確保支援が必要です。
通勤可能か、雇用終了後も住めるか、同居人数に対して十分な広さかを、賃貸借契約書や入居条件で確認してください。
方法1は本人名義の賃貸契約を支援する
本人が賃貸借契約を結ぶ場合、物件情報や不動産仲介事業者を案内し、必要に応じて内見や契約に同行します。初期費用(企業負担の考え方)、更新、原状回復、解約予告を、本人が理解できる言語で確認します。
連帯保証人に適当な人がいないときは、企業側が連帯保証人になるか、家賃債務保証業者を確保して企業側が緊急連絡先になります。家賃債務保証業者を利用した場合の保証料は、企業側の負担です。
方法2は企業が物件を借りて提供する
企業が賃貸物件を借りて本人へ提供する方法です。本人が入居審査や保証人の手続を直接行わずに済む一方、企業が解約、損傷、家賃滞納などの契約責任を負います。
雇用契約が終わると同時に住居を失う設計では、転職や帰国準備の期間に問題が起きます。雇用契約と住居利用契約を分け、退去期限、費用精算、残置物への対応を書面で説明します。
方法3は企業所有の社宅を提供する
企業が所有する社宅や寮を、本人の合意を得て提供する方法も認められます。相部屋にする場合は、生活時間、宗教上の配慮、喫煙、プライバシーなどを事前に確認します。
社宅でも広さなどの基準を確認し、消防設備や生活設備の利用方法を案内してください。
居室は原則1人当たり7.5平方メートル以上を確保する
運用要領別冊は、居室の広さを1人当たり7.5平方メートル以上とするよう求めており、支援計画書にも確認欄があります。ルームシェアなど複数人で住む場合は、居室全体の面積を居住人数で割った広さが7.5平方メートル以上必要です。
技能実習から特定技能1号へ移行し、確保済みの社宅等に住み続けることを希望する場合は例外があり、寝室について別の記載欄があります。最新の様式と個別条件を確認してください。
支援費用と家賃を混同しない
物件探しへの同行、保証の手配、契約の説明など、義務的支援を実施するための費用は本人へ負担させられません。しかし、住居確保支援は、企業が本人の家賃を負担する制度ではありません。本人の責任で滞納した家賃も、支援費用とは区別して請求できます。
「支援手数料」として登録支援機関への委託料や同行費を給与から引いてはいけません。登録支援機関との契約でも、負担項目を分けます。
社宅の家賃は借上げ費用を入居人数で除した額以内にする
社宅等の貸与によって企業が経済的利益を得てはなりません。 企業が借りた物件では、本人から徴収できる居住費は、借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等を含まない)を入居人数で除した額以内です。除外費目を居住費として本人へ転嫁することはできません。
企業所有の物件では、建設・改築に要した費用(土地関係の費用を除く)、耐用年数、入居人数などを勘案した合理的な額とします。家賃、共益費、水道光熱費、備品代を区分し、算定根拠と実際の請求額を保存します。一括の「寮費」だけでは、適正額を説明しにくくなります。
給与から家賃を控除するなら労使協定を確認する
労働基準法第24条は賃金の全額払いを原則とし、法令に定めがある場合などを除き、賃金の一部を控除するには労使の書面協定が必要です。本人の同意書だけで当然に控除できるとは考えないでください。
控除項目と金額を賃金明細に表示し、本人が理解できる言語で説明します。
電気・水道・携帯電話などの契約も支援する
義務的支援には、住居だけでなく、銀行口座、携帯電話、電気・ガス・水道など生活に必要な契約の案内と手続補助も含まれます。必要書類や窓口を案内し、必要に応じて同行して手続を補助します。
生活上の困り事は離職や失踪のきっかけにもなるため、外国人労働者の生活課題として継続的に確認します。
転居と退去まで支援記録を残す
配置換えで通勤が難しくなる場合など、受入れ後の転居にも住居確保の支援が求められます。特段の事情のない本人都合の転居は義務的支援の対象外ですが、任意の支援は差し支えありません。住居地を変えた本人には、新住居地への移転から14日以内に市区町村で届出が必要なことも案内します。
退職、転職、帰国の場面では、解約予告期限、違約金、原状回復、公共料金の精算を確認します。入居時の写真や契約書、費用説明の記録が、退去時の認識違いを減らします。
企業の確認チェックリスト
- 現在の住居を継続利用できるか確認する
- 本人契約、企業借上げ、企業所有のいずれにするか決める
- 通勤、広さ、同居人数、設備を確認する
- 家賃と支援費用を分け、居住費の根拠を記録する
- 給与控除する場合は労使協定と明細表示を確認する
- 生活に必要な契約を支援する
- 転居、退職、帰国時の手順を説明する
FAQ
Q1. 特定技能1号の家賃は企業が払いますか? → 住居を確保できるよう支援する義務はありますが、毎月の家賃まで企業が負担する義務ではありません。義務的支援の実施費用と本人の家賃を区別します。
Q2. 物件情報を渡せば支援は完了しますか? → 情報提供に加え、必要に応じて不動産仲介事業者の紹介、内見・契約への同行、保証の手配などを行い、本人が円滑に住居を確保できるよう支援します。
Q3. 社宅費を給与から控除できますか? → 賃金の一部控除には、法令上の控除などを除き、原則として労使の書面協定が必要です。適正な額を算定し、控除内容を本人へ説明してください。
Q4. 転職時にも住居支援が必要ですか? → 配置換えなど、本人都合によらない受入れ中の転居には支援が必要です。雇用終了後の扱いは契約関係を確認し、新旧の所属機関と本人が退去・転居日を調整してください。
まとめ
特定技能1号の住居確保支援は、本人名義の契約支援、企業借上げ、企業所有の社宅という方法から、本人が適切な住居を確保できる形を選びます。原則1人当たり7.5平方メートル以上の居室を確認し、生活に必要な契約も支援します。
義務的支援の費用は本人へ転嫁せず、家賃は別に整理します。社宅の居住費は借上げ費用を入居人数で除した額以内など適正な額とし、給与控除には労使協定を確認してください。入居だけでなく、転居と退去までの手順を決めることが実務の要点です。