不法就労助長罪とは?2027年4月の厳罰化と企業の確認手順

目次
外国人を雇用する企業は、本人が在留カードを提示しただけで確認を終えてはいけません。在留資格、就労制限、資格外活動許可、在留期限と、実際に任せる業務を照合する必要があります。不法就労助長罪は2027年4月1日に厳罰化されます。「知らなかった」を防ぐ社内手順まで解説します。
不法就労の3つの類型
出入国在留管理庁は、不法就労を主に次の3類型で説明しています。
- 不法入国者や在留期限を過ぎた人が働く
- 「短期滞在」「留学」など、原則就労できない在留資格の人が許可なく働く
- 就労資格がある人が、認められた在留資格や資格外活動許可の範囲を超えて働く
在留資格名だけで判断せず、就労できる在留資格と実際の職務を照合します。
助長罪の対象になる3つの行為
入管法第73条の2は、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせる行為、不法就労させるため自己の支配下に置く行為、これらを業としてあっせんする行為を処罰対象としています。
直接雇用する会社だけでなく、人材を紹介・あっせんする事業者にも関わります。名目上の雇用主と実際の指揮命令者が異なる場合も、契約名だけで安全とは判断できません。
派遣・請負先で予定外の仕事を頼まれる場合も、実際の活動が基準です。契約書上の職種だけでなく、現場の工程、勤務場所、指揮命令の実態まで確認します。
現行の法定刑
2027年3月31日までの法定刑は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。罰金だけとは限らず、拘禁刑と罰金の両方が科される可能性があります。
違反した外国人本人の在留上の責任と、雇用主・あっせん者の助長責任は別です。「本人が大丈夫と言った」という説明だけでは、企業の確認責任を果たしたことになりません。
2027年4月1日から厳罰化
令和6年法律第60号による改正は、原則として2027年4月1日に施行されます。不法就労助長罪の法定刑は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科へ引き上げられます。
この改正法の公布日は2024年6月21日で、公布日は施行日ではありません。2026年6月14日は、特定在留カード等の導入を含む別の改正法(令和6年法律第59号)の主な施行日です。不法就労助長罪の厳罰化は令和6年法律第60号によるもので、適用開始は2027年4月1日として管理してください。
知らなかっただけでは免れない
入管庁は、雇用主が不法就労者だと知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば処罰を免れないと案内しています。
必要なのは、担当者の経験ではなく確認記録です。採用時にカードの写しだけを保存しても、職務との照合、期限管理、変更後の再確認がなければ手順として不十分です。
法人にも罰金刑があり得る
代表者や従業員が法人の業務に関して不法就労助長行為をした場合、行為者だけでなく法人にも罰金刑を科し得る両罰規定があります。
採用担当者個人の問題として処理せず、業務内容を決める現場責任者、在留期限を管理する人事、派遣・請負契約を審査する法務の役割を決めてください。
採用時の確認手順
最低限、次を同じ確認票に残します。
- 在留カードの表裏と有効性を確認する
- 在留資格、在留期間、就労制限の有無を見る
- 資格外活動許可がある場合は許可範囲を確認する
- 雇用契約書と実際の職務記述を照合する
- 必要に応じて就労資格証明書や専門家への確認を行う
- 外国人雇用状況の届出を行う
採用選考で国籍を理由とする差別につながらないよう、在留確認の目的と実施段階も社内で統一します。
カード番号の有効性確認や読取機能は偽変造対策に役立ちますが、それだけで就労可否は確定しません。表面の就労制限、裏面の資格外活動許可、本人同一性、職務内容を組み合わせて判断します。
入社後も再確認する
在留期限の更新だけでなく、配置転換、転勤、兼務、副業、契約先変更で許可範囲とのずれが生じます。在留期間更新の期限を通知するだけでなく、更新後のカードと職務を再照合してください。
「技術・人文知識・国際業務」の人へ単純作業を恒常的に任せるなど、職務内容側の変更も不法就労につながり得ます。技術・人文知識・国際業務の業務範囲も確認します。
取引先から外国人が配置される場合は、適法な雇用確認を契約条項と受入時の名簿確認に入れます。疑義があれば就労させる前に、地方出入国在留管理局や専門家へ確認してください。
FAQ
Q1. 在留カードの写しを保管すれば確認は完了ですか? → 完了ではありません。就労制限、資格外活動許可、在留期限と実際の職務を照合し、入社後の変更も再確認します。
Q2. 2026年6月14日から500万円に上がるのですか? → いいえ。不法就労助長罪の厳罰化は2027年4月1日施行です。現行は3年以下・300万円以下で、改正後は5年以下・500万円以下です。
Q3. 紹介会社なら雇用主でないため対象外ですか? → 業として不法就労をあっせんする行為も対象です。契約名称だけでなく、紹介内容と確認手順を点検してください。
まとめ
不法就労助長罪は、雇用だけでなく支配下に置く行為や業としてのあっせんも対象です。2027年4月1日には、法定刑が5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金へ引き上げられます。
在留カード、許可範囲、期限、実際の職務を採用時と変更時に照合し、担当者が変わっても残る確認記録を作ってください。